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楽しむ学ぶ「雛人形」
雛壇ストーリー
雛祭り起原考目次

はじめに

一段目 内裏雛
┗女雛
┗男雛

二段目 三人官女
┗提子
┗島台
┗長柄

三段目 五人囃子
┗謡
┗笛
┗小鼓
┗大鼓
┗太鼓

四段目 随身
┗左大臣/近衛中将
┗右大臣/近衛少将

五段目 仕丁
┗熊手
┗ちり取り
┗箒

六段目 嫁入道具揃
┗箪笥
┗長持
┗表刺袋
┗火鉢
┗針箱
┗鏡台
┗茶道具

七段目 御輿入れ道具
┗御駕籠
┗重箱
┗牛車

 
 



 

花 六段目/嫁入道具揃(よめいりどうぐぞろい)

金と黒に込めた蒔絵の世界=『陰翳礼讃』
*写真は蒔絵を模して制作されたものです。大名家の調度品の数々は「全国お雛巡り」のコーナーで紹介の施設にてご鑑賞ください。

嫁入道具揃
雛壇の解説

花 嫁入道具揃について
賑やかな十五人の雛人形を飾る雛壇を一層豪華にそして芸術の域にまで高めているのはこの金蒔絵の調度品の数々ではないでしょうか。大名家の姫君の婚礼の際には、嫁入り道具をそのままミニチュアの雛道具として作らせ、この雛道具一式が嫁入り道具となっていたのです。婚礼は個人だけでなく家と家とが結びつく重大な儀式であった時代。婚家に家紋の入った贅をつくした品々を屋敷内に置くことは家格を示すだけでなく、家と家との結びつきの象徴ともなったことでしょう。姫君たちも嫁いだ先で、この雛壇の嫁入り道具揃を見るたび、実家の親の思いを感じとったことでしょう。

花 闇の中に浮かび上がる美しさ
雛壇は雪洞(ぼんぼり)のほの明かりにこそ映える日本の美。そして日本人なら一度は読んでほしい書―谷崎潤一郎著 『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』

-以下抜粋-
「闇」を条件に入れなければ漆器の美しさは考えられないと云っていい。・・(中略)・・昔からある漆器の肌は、黒か、ちゃか、赤であって、それは幾重もの「闇」が堆積した色であり、周囲を包む暗黒の中から必然的に生まれ出たもののように思える。派手な蒔絵などを施したピカピカ光る蝋塗りの手箱とか、文台とか、棚とかを見ると、いかにもケバケバしくて落ち着きがなく、俗悪にさえ思えることがあるけれども、もしそれらの器物を取り囲む空白を真っ黒な闇で塗り潰し、太陽や電燈の光線に代えるに一点の燈明か蝋燭のあかりにして見給え、忽ちそのケバケバしいものが底深く沈んで、渋い、重々しいものになるであろう。

さあ、お道具を見てみよう。

箪笥
花 箪笥(たんす)
姫君のきらびやかな優雅な生活を象徴するかのような豪華な箪笥ですね。
実は箪笥の歴史は思ったより浅く、江戸時代の寛文年間 (1661~1673) に大坂で造られたのが最初と推測されています。当時、箪笥を持つ事が出来たのは上流階級の人達だけで、庶民は多くの衣類を持ち合わせておらず長持など箱の形状のものに衣類や家財道具を収納していたようです。ところで箪笥の数は一棹 (さお) 、二棹 … と数えますね。箪笥が普及し始めたころ、棹を通して運べる構造 (棹通し金具) が取り入れられ、一棹、二棹 … と数えるようになったのです。
 
長持
花 長持(ながもち)
衣類や寝具を入れるための長方形の容器の名称。一般的な大きさは、長さ約174㎝前後、幅と高さは約75㎝。長端部には棹(さお)を通すための金具があり、運搬時はここに太い棹(長持棹)を通して2人で担ぎ、持ち運びます。この長持、火事の際に長持ごと曳いて運び出せるように下部に車を付けた 「車長持」 が流行していたこともありました。しかし明暦三年 (1657) に起った江戸大火の時、皆が一斉に車長持を引き出したため路地がふさがれて大惨事が起きます。そのため幕府は、江戸、大坂、京都の三都で車長持の製造を禁止し、その後の長持ちは、棹を通して担いで運べるタイプが主流になったそうです。
表刺袋
花 表刺袋(うわざしぶくろ)
婚礼の飾調度として、表地は唐織、裏地は綾や平絹で華麗に仕立てたようです。装束や調度品を納めて持参するので地質を強固にしなくてはなりません。そのため組緒を縦横にめぐらし表刺縫いにしたことから表刺袋(うわざしぶくろ)と呼びました。
火鉢
花 火鉢(ひばち)
中には灰を入れて暖房のように供する道具。火桶と呼ばれていたものも後世には火鉢の名で呼ばれるようになりました。
針箱

花 針箱
今のようなミシンもない時代、既製品など無く衣類のみならず日常生活のすべてが手作りの江戸時代、いつもそばにあるお針箱は大活躍だったことでしょう。「物は大切に最後まで使い尽くす」が江戸時代の生活の基本姿勢でした。手縫いで一針一針心を込めて縫い上げた着物は痛まないよう大切に使い、子供や孫にまで着回す事も珍しくありませんでした。直線縫いですから何度も仕立て直して使えます。つぎはぎやうす切れが目だってくると家の中だけの着物にし、よくよく着られなくなると布団や座布団に、さらにはおむつや雑巾にしたそうです。この頃の繊維は木綿・麻・絹といった天然繊維。最後は腐って肥料になるし、燃やせば灰になって土に変えるのです。江戸時代って、理想的なリサイクル社会だったのですね。
「物は大切に最後まで使い尽くす!」

花 鏡台
化粧道具を収納する引き出し付き箱の上に、鏡を掛けるための柱を立てる構造からなります。手にとって顔を見るもよし、そのままで姿見にもなる、一石二鳥の構造です。婚礼調度の中でも重要な調度です。江戸時代は髪型の他にお化粧にも決まりがあり、三人官女の中央の方のように既婚者はお歯黒・眉そりをしていました。江戸時代の女性におけるお化粧・身だしなみとは美しく魅せる以上に、身分証明書のような意味もあったのですね。
茶道具
 
花 茶道具
茶道は武家の子女にとって花嫁修業というより'たしなみ'に近い存在だったようです。
開祖、千利休の茶道の心得である「四規七則(しきしちそく)」を読めばなるほど花嫁修業、いや人間哲学の極みさえ感じさせられます。

四規(しき)とは和敬清寂(わけいせいじゃく)の精神を言う。
 和…お互い仲良くする事。
 敬…お互い敬いあう事。
 清…見た目だけでなく心の清らかさの事。
 寂…どんな時にも動じない心の事。

七則 (しちそく)
茶は服のよきように点て、
炭は湯のわくように置き、
冬は暖に夏は涼しく、
花は野の花のように生け、
刻限は早めに、
降らずとも雨の用意、
相客に心せよ
-千利休「四規七則(しきしちそく)」より-

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花 壇飾りゲーム
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